Profile

上田 紀行

文化人類学者、博士(医学)。
東京工業大学副学長(文理共創戦略担当)・学長特別補佐。
リベラルアーツ研究教育院教授

1958年東京生まれ。
東京大学理科二類、教養学科を経て、大学院博士課程文化人類学専攻単位取得退学。
愛媛大学助教授(93~96年)、96年4月より、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻准教授。
2012年2月より、リベラルアーツセンター教授。
2016年4月より2022年3月までリベラルアーツ研究教育院長。
2022年4月より副学長(文理共創戦略担当)、学長特別補佐。
国際日本文化センター助教授(94~97年)、東京大学助教授(2003~2005年)を併任。
2005年には渡米し、スタンフォード大学仏教学研究所フェローとして、「仏教は現代的問いに答え得るか」と題した講義(全20回)を行う。

 
 

86年よりスリランカで「悪魔祓い」のフィールドワークを行い、その後「癒し」の観点を最も早くから提示し、現代社会の諸問題にもテレビ、新聞等で提言を行う。 98年4月より3年間、毎日新聞で論壇時評を担当し、2000年1月から2年間は読売新聞書評委員、2001年4月より1年間NHK衛星放送「週刊ブックレビュー」司会者もつとめるほか、「朝まで生テレビ」「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」「ニュース深読み」等でも積極的に発言を行う。

 
日本仏教の再生に向けての運動に取り組み、2003年より「仏教ルネッサンス塾」塾長をつとめ、宗派を超えた、若手僧侶のディスカッションの場である「ボーズ・ビー・アンビシャス!!」のアドバイザーも務めた。

2004年に出版された『がんばれ仏教!―お寺ルネサンスの時代』(NHKブックス)では、時代の苦悩に向かい合う寺や僧侶達を紹介、日本仏教の未来図を提示し、大きな反響を呼んだ。また2006年12月には、インド・ダラムサラにおいて2日間にわたって、ダライ・ラマ14世と、21世紀の社会展望と宗教の役割をめぐる対談を行い、『目覚めよ仏教!―ダライ・ラマとの対話』(NHKブックス)(『ダライ・ラマとの対話』講談社文庫)として刊行した。

 
学内においては、講義にディスカッションやワークショップ形式を取り入れるなどの試みを行い、学生による授業評価が全学1200人の教員中第1位となり、2004年に「東工大教育賞・最優秀賞」(ベスト・ティーチャー・アワード)を学長より授与された。また東工大の教育改革にも深く関わり、2016年に新設されたリベラルアーツ研究教育院の初代院長として、新時代のリベラルアーツ教育を切りひらく中心を担った。

 
中央教育審議会 大学分科会 将来構想部会 制度・教育改革ワーキンググループ委員(2017年〜2018年)として、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の答申作成に関わるほか、文部科学省・大学等におけるインターンシップ表彰選考委員会(2018年〜2020年)、文部科学省・デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン事業委員会(2020年〜2021年)、大学の世界展開力強化事業プログラム委員会(2023年)等の委員も歴任している。

 
著書『生きる意味』(岩波新書)は、2006年全国大学入試において40大学以上で取り上げられ、出題率第1位の著作となり、これまで100以上の大学の入試問題となっているほか、数社の高校国語教科書にも掲載されている。

その他の著書に、『覚醒のネットワーク』(カタツムリ社、講談社+α文庫、河出文庫、アノニマ・スタジオ)、『スリランカの悪魔祓い』(徳間書店、講談社文庫)、『かけがえのない人間』(講談社現代新書)、『「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ』(講談社文庫)、『今、ここに生きる仏教』(平凡社)、『人生の〈逃げ場〉 会社だけの生活に行き詰まっている人へ』(朝日新書)、『パッとしない私が、「これじゃ終われない」と思ったときのこと』(幻冬舎)、『人間らしさ 文明、宗教、科学から考える』(角川新書)等がある。近著は2018年9月『平成論』(NHK出版新書)、2019年6月『愛する意味』(光文社新書)、2019年9月『立て直す力』(中公新書ラクレ)、2020年2月『新・大学でなにを学ぶか』編著:東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教員13名(岩波ジュニア新書)、2021年『とがったリーダーを育てるー東工大「リベラルアーツ教育」10年の軌跡』共著:池上彰、伊藤亜紗(中公新書ラクレ)等がある。